HOMEPick Up航空機の部品製造とは?材質やポイントを徹底解説

航空機の部品製造とは?材質やポイントを徹底解説

航空機の部品製造とは?材質やポイントを徹底解説

大型の航空機1機に使用される部品の点数は約300万点といわれており、自動車1台に比べてあたりの部品数と比べると100倍近い点数です。

航空機の部品は、当然ながら高い品質が求められます。

飛行途中に故障があっても直すことはできず、深刻な事故につながるリスクも非常に高いのが航空機の特徴です。

本記事では、そのような航空機の部品製造について、使用される材質や製造のポイントをまとめました。

弊社は航空機・ロケット事業が主力事業の1つで、多くの製造実績がございます。

記事後半では弊社の事例も紹介しておりますのであわせてご覧ください。

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航空機の部品製造とは?

航空機にも種類があり、搭乗人数や飛行速度もさまざま。

あらゆる航空機に求められるのは「高い安全性」で、高速度や超低温下においても耐え得る高強度な部品を製造する必要があるのです。

その上で、航空機は以下の3つに大別されます。

  1. 機体
  2. エンジン
  3. 装備品

 

部品①:I機体

機体とはフライトデッキ・胴体・翼などの部分を指し、航空機の大部分を構成するものです。

素材には軽量さと強度が求められるため、高強度アルミ・チタン・炭素繊維などが用いられます。

なかでも「ジュラルミン」と呼ばれるアルミ合金は、耐腐食性や耐疲労性に優れているため、機体構成の多くの割合を占めているのです。

ジュラルミンにも種類があり、A2017(ジュラルミン)・A2024(超ジュラルミン)・A7075(超々ジュラルミン)のように分類されています。

航空機の部品には「A7075(超々ジュラルミン)」などを用いることがよくあります。

 

部品②:エンジン

エンジンは、ファン・コンプレッサー・タービンなどを総称したものを指します。

具体的には、燃料を燃やして生じる大量のジェット噴流を推進力にする構造の動力機関です。

エンジンの吸気側・燃料室・排気側で求められる機能性が異なるため、使用する素材も異なります。

近年では、カーボンニュートラル( 温室効果ガスの排出量・吸収量を均衡させること)の観点から高い燃焼効率が求められるようになりました。

そのため、エンジンの燃焼効率を高める技術的な取り組みが盛んに行われている点も特徴です。

当然ながら極めて高い精度が求められるため、航空機のエンジンに関する部品製造は特に高い技術力が必要です。

 

部品③:装備品

装備品とは機体・エンジンを除いた構造体の総称で、油圧システム・空調システム・燃料の制御装置などが該当します。

装備品によって、エンジンに使用する素材とは異なる性質が求められる場合も多く、着陸の衝撃に耐え得る超高強度の鋼を使用するケースも。

総じて、耐腐食性や耐疲労性のある高強度な素材でそれぞれの部品を製造しており、搭乗者の安全を守る、高い品質管理体制・能力はとても重要です。

 

航空機の部品製造のポイント

高度な安全性と品質が求められる航空機の部品製造に関して、製造のポイントは大きく分けて以下の3点が挙げられます。

  1. 素材に合わせた加工
  2. 適切な工程設計
  3. 品質保証

 

ポイント①:素材に合わせた加工

素材の特性に合わせた加工技術の導入は、航空機の部品製造には欠かせません

そもそも、航空機の素材はAMS規格(Aerospace Material Specifications:航空宇宙用材料規格)と呼ばれる規格で厳格に定められています。

規定された素材を使用するのは大前提。

その上で、加工によって生じる歪みをいかに抑えるか、生じた歪みに対して素材の強度を落とすことなく取り除くにはどうすべきかなど、高い加工技術が求められます。

使用されるさまざまな素材に対し、特性を理解した上で、適切な加工が必要不可欠です。

 

ポイント②:適切な工程設計

安定して高品質な航空機の部品を製造する上で、適切な工程設計の用意も重要といえます。

工程設計とは要するにマニュアルのことで、素材を加工する順序や品質の管理に関する流れを適切に設計するのが重要です。

部品点数が多く、素材に関する細かな規定もあるため常に高いレベルで品質を保ち続けるためにも、適切な工程設計が求められます。

工程設計は会社の実績やノウハウにも依存するため、高い技術力をもつ会社であるほど、設計能力に長けているといえるでしょう。

 

ポイント③:品質保証

航空機の部品製造には、品質保証・管理体制が整備されています。

航空機の故障は深刻な事故につながるため、各部品メーカーは、素材の調達方法・使う工具・加工プロセスなどのすべてにおいて、特定機関や発注メーカーから認証を受けなければなりません。

品質マネジメントシステムに関する国際規格であるISO 9001に、航空宇宙産業における製品の安全性を確保し、信頼性を向上させるための規格としてJIS Q 9100があります。

同規格に習った品質保証体制は必須で、あらゆる加工・製造工程を記録し、不備があった際の原因追求を速やかに行える体制が整っているのです。

 

航空機の部品製造に使う材質

航空機の部品製造に使用される素材は、大きく分けて以下の3つが挙げられます。

  1. チタン合金
  2. インコネル
  3. 15-5PH

 

材質①:チタン合金

チタン合金は、チタンにニッケルやアルミニウムなどを混ぜてつくられた素材です。

混ぜる素材により、純粋なチタンよりも耐食性や強度などが向上するという特徴があります。

チタン合金は軽量で強度が高く、耐食性にも優れているため、航空宇宙産業以外にも船舶・自動車・発電所・石油化学系工業など幅広く利用される素材です。

一方で、チタン合金は強度が高いため、加工が困難というデメリットもあります。

溶接・プレス成形・切削の難易度が高く、特徴に合わせた加工技術が求められるため、正確な知識が必要です。

 

材質②:インコネル

「インコネル」とは、耐熱性が高く、高温化での特性に優れている超耐熱合金です。

ニッケルを主成分として鉄・クロム・モリブデンなどさまざまな成分から組成されています。

航空機のエンジン以外にも、各種プラント設備やごみ焼却炉などで使用されます。

インコネルは耐蝕性(腐食しにくさ)にも優れており、通常の金属なら錆びてしまうような環境でも、簡単に腐食しない特徴があるのです。

イメージとしてはステンレスに近く、耐熱性と耐蝕性の高さから、航空機の部品にインコネルが使用されます。

しかしチタン合金同様、切削加工が困難なため、加工には高い技術力が必要です。

 

材質③:15-5PH

15-5PHとはステンレス鋼の一種で、高強度・高硬度・優れた耐蝕性を備えています。

析出硬化系ステンレス鋼の一種で航空機部品以外にも自動車や化学プラントなどさまざまな用途で使用されているのが特徴です。

析出硬化系ステンレス鋼とは、金属間化合物の析出により、高い強度を得ることを目的としたステンレス鋼のこと。

15-5PHは熱処理をする前後で切削性が異なり、熱処理を加える前は加工しやすいという点も特徴的です。

 

南条製作所の航空機・ロケット事業

弊社の航空機・ロケット事業は、4つある主要事業の1つで、航空機関連の国内製造に数多く携わっています。

  • 日本で1台しかないハイスピード5軸ガントリー
  • 門型五面加工機
  • 大型5軸縦旋盤

弊社では上記の加工機械などを備え、胴体形成金型、主翼部材加工と治具、その他加工全般をオリジナルで製作。

弊社のもつ大型設備と実績、長年のノウハウで世界だけはなく、宇宙へと飛び立つものづくりを実現いたします。

弊社で稼働している設備につきましては、設備紹介からご覧ください。

お困りごとや製作のご依頼など、ご不明点やご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

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まとめ

航空機の部品製造は、極めて高い品質と安全性が求められます

航空機は、「機体」「エンジン」「装備品」の大きく分けて3つに大別できますが、いずれも耐熱性・耐久性・耐蝕性に優れた高強度な素材が必要不可欠です。

高強度であるがゆえに、どの素材の加工も高い技術力や設計精度の高さが必要。

そのため、熟練した技術や知識はもちろん、適切な工程設計も求められます。

航空機に限らず、金属加工についてお困りごとがありましたら、機械加工の優れた実績や経験・ノウハウを蓄積している弊社までお気軽にお問い合わせください。

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