HOMEPick Up溶接加工とは?3つの分類・6つの溶接加工についてわかりやすく解説

溶接加工とは?3つの分類・6つの溶接加工についてわかりやすく解説

溶接をする場合、大きく3種類に分類される溶接加工の中から、素材や用途に応じて的確に溶接加工の種類を検討する必要があります。
この記事では、溶接加工の分類や種類、特徴について解説します。

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溶接加工とは

溶接加工とは、2つ以上の金属をつなげる加工のことです。製品を作成する際、複数の金属を接合する必要があります。

そういった場合に、さまざまな方法の溶接加工が用いられています。

 

溶接加工の3分類

溶接加工にはいくつもの方法がありますが、大きく分けて下記の3種類に分類されます。

  1. 融接
  2. 圧接
  3. ろう接

上記の3分類の特徴を解説します。

 

分類①融接

融接は、材料の接合部に熱を加えて材料同士をくっつけ合い、冷却することで溶接する加工を指します。

融接以外に、「溶融溶接」や「溶融法」とも呼ばれています。

融接は溶接加工の3分類の中でも最もメジャーな方法です。

金属の溶接加工といえば、融接をイメージする方が多いでしょう。

融接には材料同士を直接くっつける方法とは別に、接合部に溶加材を使用する方法もあります。

融接の主なメリットは、大きい素材でも溶接しやすいことや、頑丈に溶接できることです。

ただ、機械で溶接する場合を除くと、毎回全く同じように溶接することは困難であり、品質が乱れやすい溶接加工でもあります。

 

分類②圧接

圧接は、材料の接合部同士を密着させ合い圧力を加えることで溶接する加工です。

圧接以外に、「加圧溶接」や「圧接法」とも呼ばれます。圧接は機械的圧力により正確に力を加える溶接が可能です。

また、圧力を加えるだけの方法の他に、接合部を加熱してから圧力を加える方法もあります。

圧接では機械で毎回同じ圧力を加えられるので、容易に品質を維持できます。

そのため、大量生産のラインでよく用いられています。

デメリットとして他の溶接加工と比較すると、接合部の強度が劣る点があるので、高い気密性が要求される溶接には向いていません。

 

分類③ろう接

ろう接は、溶接したい素材同士を溶加材でくっつける溶接加工です。

融点450℃以上の溶加材を使用する方法を「ロウ付け」と呼び、融点450℃未満の溶加材を使用する方法を「はんだ付け」と呼びますが、まとめて「ロウ接法」とする場合もあります。

ろう接は、他の溶接加工とは異なり素材自体に熱や圧力を加えないため、素材を傷つけることなく溶接できます。

また、異なる素材同士の溶接も可能です。ろう接のデメリットとして、融接と比較すると強度が劣ることが挙げられます。

 

溶接加工の主な方法6つ

ご紹介した溶接加工の3分類の中でも、特に使用頻度が多いとされている溶接加工の方法を6つお伝えします。

  1. 被覆アーク溶接
  2. 自動アーク溶接
  3. TIG溶接
  4. スポット溶接
  5. レーザー溶接
  6. ロウ付け

それぞれ解説します。

 

方法①:被覆アーク溶接

被覆アーク溶接とは、溶接したい素材と同じ材質の溶接棒を電極としてアークを発生させることでくっつける溶接加工です。

溶接棒にフラックスを塗り固めて使用します。

被覆アーク溶接は融接の中でもメジャーな方法であり、「融接=被覆アーク溶接」とする場合もあります。

また、被覆アーク溶接を行う設備は揃えやすいため、古くから使用されつづけている溶接加工です。

主に人間が手作業で行う溶接加工であるため、「手溶接」や「手棒溶接」とも呼ばれます。

被覆アーク溶接のデメリットは、作業者の技術により品質が異なることです。

被覆アーク溶接で素材を溶接すること自体は簡単だとされていますが、毎回一定の質に仕上げるのは困難です。

 

方法②:自動アーク溶接

自動アーク溶接とは、トーチという器具が発する熱で素材の接合部を溶かしながらくっつける溶接加工です。

トーチから自動でワイヤーが供給されるため、「自動アーク溶接」という名称が付けられています。

ただ、ワイヤー供給は自動で行われるものの、溶接作業は人間の手により行うため「半自動アーク溶接」とも呼ばれています。

自動アーク溶接は、ワイヤーが自動で供給されるため、ある程度慣れてしまえば比較的簡単に行える溶接加工といわれています。

また、条件を正しく揃えればスピーディーに溶接できます。

自動アーク溶接では、溶接する素材の酸素結合を防止するためにシールドガスと呼ばれる不活性ガスを用います。

そのため、シールドガスが風に流されてしまう屋外の作業に自動アーク溶接は適していません。

ただ、「ノンガスワイヤー」と呼ばれるシールドガス不要の自動アーク溶接ならば屋外でも問題なく作業できます。

 

方法③:TIG溶接

TIG溶接とは、不活性ガス溶接の一種であり、火花を飛ばすことなく溶接できる加工です。

TIG溶接の「TIG」は「Tungsten Inert Gas」の略語であり、「ティグ溶接」とも呼ばれています。

TIG溶接で火花が飛び散らない理由は、溶接部がガスで覆われているからです。

そのため、接合部が乱れにくく、接合面が視覚的にも美しく仕上げられます。見た目にこだわる製品に適した溶接加工です。

 

方法④:スポット溶接

スポット溶接とは、溶接する素材同士を押し当て、圧力をかけながら電気抵抗による発熱で溶接する加工です。

溶接したい素材の上下から電流を流すことで接合部を溶かす溶接加工であることから、スポット溶接と呼ばれています。

スポット溶接のメリットは短時間の溶接が可能なことであり、そのため製造ラインでの加工に優れています。

設備さえ準備できれば、作業者に多くの技術は要求されません。

 

方法⑤:レーザー溶接

レーザー溶接とは、文字どおりレーザーによる熱を利用する溶接加工です。

溶接部にレーザー光を当てることで溶かし、冷却することで溶接します。

また、レーザー発振器の設定次第で、素材に適したレーザー光の照射が可能です。

レーザー溶接のメリットは、電流の影響を与えずに溶接できることです。また、異なる素材同士の溶接にも適しています。

レーザー溶接は、レーザーの射出方法により大きく2種類に分けられます。

1種類目はガスレーザーです。

レーザー溶接で最もポピュラーな「CO2レーザー」はガスレーザーに該当します。

2種類目は固体レーザーです。

アルミニウムなどの固体を用いるレーザー溶接であり、「YAGレーザー」などが有名です。

 

方法⑥:ロウ付け

ロウ付けは、溶接したい素材と素材の間に溶加材を加えることで溶接する加工です。

融点の低い溶加材を溶かし冷却させることで溶接します。

溶加材の融点が450℃以上の場合「ロウ付け」と呼びますが、同じ仕組みでも溶加材が450℃未満なら「はんだ付け」と呼びます。

ロウ付けの長所は、素材に直接熱を加えたり圧力をかけたりしないことです。

そのため、素材を傷つけたり劣化させたりせずに溶接できます。また、異なる素材同士の溶接にも適しています。

 

溶接と機械的接合法の違い

機械的接合法とは、素材を加熱することなくくっつける接合方法です。

溶接と機械的接合法の違いは、素材の接合方法にあります。

溶接が主に素材を溶かして接合するのに対して、機械的接合法は高力ボルトやリベットを用いて接合します。

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まとめ

溶接加工は素材の接合手段によって、大きく下記の3種類に分類されます。

  1. 融接
  2. 圧接
  3. ろう接

また、これらの分類分けとは別に、具体的な方法により溶接加工の種類は分かれています。

万能な溶接加工方法はないので、シチュエーションに応じて的確に使い分けることが重要です。

溶接加工についてさらに詳しく知りたい、溶接加工を頼みたいという場合は、気軽に当社へお問い合わせください。

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