レーザー加工とは、高密度のレーザー光を用いて材料の加工を行う方法で、切断や溶接、穴あけなどに使用されます。
近年では、さまざまな業種で利用されており、レーザー加工の技術は製造現場にとって欠かせないものといえるでしょう。
この記事では、レーザー加工の特徴やメリット、デメリットについて解説します。
目次:タップで該当箇所へジャンプ1 レーザー加工とは2 レーザー加工の原理3 主なレーザー加工機の種類4 レーザー加工のメリット4.1 メリット①:複雑で微細な加工ができる4.2 メリット②:加工の自由度が高い4.3 メリット③:材料の変形やひび割れが発生しにくい4.4 メリット④:作業効率が高い4.5 メリット⑤:金型を必要としない5 レーザー加工のデメリット5.1 デメリット①:加工できない材料がある5.2 デメリット②:作業に時間がかかる5.3 デメリット③:熱による変色が発生する6 レーザー加工導入時の注意点6.1 注意点①:最適な加工機を選定する6.2 注意点②:適切な安全対策を実施する6.3 注意点③:火災に注意する7 まとめ
目次:タップで該当箇所へジャンプ
▼弊社の会社概要はコチラからご覧いただけます。
レーザー加工とは、高密度のレーザーを照射し、熱エネルギーによって金属や木材などの材料を蒸発・融解させ、切断や穴あけ、彫刻などを行う加工方法です。
レーザーは光線の強さや照射位置を簡単に調整可能で、大量の加工を均一の品質でスピーディに処理できるのが特徴です。
ゴムや布地など、加工が難しい素材にも利用でき、幅広い分野・業種で導入が進んでいます。
レーザー加工は、レーザー発振装置で生成したレーザー光を反射ミラーなどで伝送し、集中レンズで集光させてエネルギー密度を高め、レーザーヘッドから対象物に照射。材料の表面温度を上昇させ、融解・蒸発を引き起こします。
原理的には太陽光を虫眼鏡で集めて紙を焦がすのと似ていますが、太陽光はさまざまな方向に向かうため、進むほどエネルギーが小さくなっていきます。
一方、レーザー光は単色性と可干渉性(コヒーレンス)をもつ単一波長の電磁波(コヒーレンス光)で、指向性・収束性に優れるため、1カ所にエネルギーを高密度に集中できるのが特徴です。
焦点にエネルギーを集められるうえ、波長が単一に集中させると威力が増加するため、こちらのほうが加工に適しています。
【関連記事】レーザー加工機でできることを8つ紹介!メリットや不適切な材料も
レーザー加工で使用されるレーザー加工機には、CO2レーザーやYAGレーザー、ファイバーレーザーなどいくつかの種類があります。
加工機の違いは生成されるレーザー光の媒質の違いによるもので、例えば、CO2レーザー加工機なら媒質は炭酸ガス(CO2)、ファイバーレーザーなら光ファイバーです。
それぞれ得意とする材料や加工の種類が異なるため、使用の際には適切な加工機を選択しましょう。
レーザー加工には次の5つのメリットがあります。
1つ目のメリットは、複雑かつ微細な加工が可能なことです。
レーザー加工では機械に図面データを取り込めるため、他の加工方法では難しい、細部への穴あけや複雑な形状の切断なども精密かつ正確な作業が可能です。
刃物を使わないため、ピンポイントの加工にも適しており、バリなども発生しにくいため、後処理の手間もかかりにくくなっています。
2つ目のメリットは、加工の自由度が高いことです。
出力やレンズを変えれば、金属のように硬質な素材から布地や皮革など柔らかい素材、木材やゴムなどさまざまな材料を加工でき、刃物が使いにくい超硬金属やセラミックのように脆い金属など難しい素材の加工も容易です。
3つ目のメリットは、材料に変形やひび割れが起こりにくいことです。
レーザーは収束性に優れているため、加工する最小限の範囲にのみ照射でき、熱による影響が起こりにくく、熱で変形しやすい薄板のような素材でも問題ありません。
また、非接触で材料に無駄な力をかけずに加工するため、変形やひび割れの発生も抑えられます。
4つ目のメリットは、作業効率が高いことです。
他の加工方法と比べて迅速な加工が可能で、従来よりも作業の高速化がはかれます。
また、刃物が摩耗したり、粉塵が発生したりする心配もないため、部品の交換や機械の清掃といったメンテナンスに伴う時間のロスや余計なコストがかかりません。
5つ目のメリットは、金型を必要としないことです。
他の加工方法では、通常、大量生産のために金型が使われます。
加工の前には金型を生産する必要があり、設計を変える際には金型も変更しなければなりません。
しかし、レーザー加工ではパソコンから設計データを送れるため、金型の生産・変更に伴うコストを抑えられます。
レーザー加工には、メリットだけでなく、次の3つのデメリットも存在します。
1つ目のデメリットは、加工できない材料があることです。
一般的には幅広い材料に利用可能ですが、なかには使えない素材も存在します。
厚板のような厚みがある材料の加工は苦手ですし、古い加工機の場合、反射率の高い材料が切断しにくくなっています。
2つ目のデメリットは、作業に時間がかかることです。
原理上、レーザー光の集中や対象の溶解などに時間を要するため、少しコスト面が高くなってしまう傾向があります。
スピードアップも可能ですが、バリなどが発生しやすくなるため後処理が必要です。
単純に速度重視で大量生産を目指すなら、切削加工やプレス加工のほうが向いているでしょう。
3つ目のデメリットは、熱による変色が発生することです。
レーザー加工機や素材の種類によっては、熱や化学変化によって材料に変色が起きるケースがあり、作業後に研磨や表面処理が必要になります。
レーザー加工を導入する際の3つの注意点をご紹介します。
1つ目の注意点は、最適な加工機を選定することです。
ひとくちにレーザー加工機といっても種類はさまざまで、機種によって加工できる材料の種類や厚みなどが異なります。
導入の際は自社に必要な性能を把握したうえで加工機を選定してください。
大型加工機を含めた、弊社の設備を見てみませんか?
2つ目の注意点は、適切な安全対策を実施することです。
加工機が発する強いレーザー光は、人の眼に当たるとケガや、最悪の場合は失明の危険性があります。
機械を使用の際には、保護メガネなどの保護具を適切に着用するようにしましょう。
3つ目の注意点は、火災に注意することです。
レーザー加工には、レーザー光の熱による火災の危険があります。
加工機の周囲には、引火性・爆発性のあるものを置かず、衣服などへの引火を避けるため、稼働中は不用意に近づかないようにします。
この記事では、レーザー加工の原理やメリット、デメリットについて解説してきました。
レーザー加工は、指向性・収束性に優れたレーザー光を使用して、さまざまな材料を精密かつ効率的に加工できる優れた方法です。
いくつかデメリットもあるものの、大きなメリットをもっているため、今後も多様な分野での利用が期待できます。
さらにレーザー加工について理解を深めたい、作業を効率化したいという場合は、気軽に当社へお問い合わせください。
【関連記事】レーザー加工機でできることを8つ紹介!メリットや不適切な材料も 【関連記事】金属加工の方法を3種類に分けて解説!機械加工・熱処理加工・表面処理 【関連記事】切削加工3種類を解説!旋削加工・フライス加工・穴あけ加工とは
▼弊社の資料はコチラからご覧いただけます。